建設業界のECの使い方

はじめに

建設業の会計は、一般的な商業簿記とは異なり、建築に関わる原価計算と未計上売上(未成工事)に関する出金や入金を取り扱う、未成工事支出金や未021年12月19日の日本経済新聞朝刊の7面には、「米小売り 分社化の圧力」との見出しで、アメリカの小売業に対して株主からの電子商取引(EC)部門の分社化の提案が相次ぎ、事実数社の先行例では、分社化による時価総額の増大が見られていると報じています。

「成長力のあるEC事業をスピンオフすべきだ」と物言う株主のジャナ・パートナーズは10月、老舗百貨店メーシーズにオンライン事業の分社化を求めた。(途中省略)ジャナは分割で評価額が140億ドルに倍増するとみる。

この30年の情報インフラの成長により、産業界は大きな渦に巻き込まれています。そしてその渦は、身近な私たちの建設業界にも訪れているのです。

建設業界の情報化は

CADの普及は進んでいますが、建設業界では、ITや情報化には後塵を拝していると言って過言ではないでしょう。建設業界では、施工進捗が最も重要であり、その進捗を妨げようとするものは、先天的に排除されてきたという現場感覚が、IT化や情報化を阻害してきたことは事実だと思います。

しかし、この建設業界にも、新しい動きが胎動してきているように思います。その動きの一つが前出の小売業のEC部門分社化と同様、営業部門のEC化だと思います。

ECの得意なこと

ECの得意なことは、在庫を持たないと言うことです。

ですから、多品種少量販売に傾いた小売業では、瞬く間に販売シェアーを進捗させてきたのです。本・靴・服・PC・食料品・飲料などなど、通常の小売店であれば大量の商品を店舗ごとに持つ必要があった在庫を、ECであれば、集約的に管理すればよく、圧倒的なメリットが発生したのです。

建設業におけるECの可能性は

建設業は、ゼネコンを頂点に、専門業種であるサブコンや一人親方のような職人が寄り集まった独特の組織で構成されています。

その中で、ゼネコンは、営業や設計、そして現場管理と建設物の構想段階から竣工、利用、メンテナンスまで幅広く活躍の場を持っています。いわゆる発注者である川下と生産者である川上を全てコントロールできる立場にあると言えます。

この特殊な環境の中で、地域の建設業を支えるサブコンの事業者は何を考えれば良いのでしょうか?

建設業におけるECの可能性はどこにあるのでしょうか?

商品を作り出すこと

先ほど、ECの特徴は「在庫を持たないこと」だと申し上げました。

ですから、建設業でECを利用するために、「在庫」は持たずに、「実績写真」を持つべきだと思うのです。過去から現在も営々と積み上がっている建設物の実績を写真や映像として保管し、それを武器にEC化を推進すべきだと思います。

実績を商品として、直接顧客に届けることができるのが、ECの良さです。

ECを少しずつ、自社の力量に合わせて導入する

AmazonやGoogleは、初期的に画期的な技術と莫大な投資を持って現在の情報インフラを構築していきました。

その過程では、高度に専門化した知識や経験、先見的な投資家、未来をデザインし実現化する能力といった、他に見られないような組み合わせが必要だったのです。

しかし、現在では、ECの立ち上げに必要なものは、専門的な知識や莫大な投資資金ではありません。

一言で言えば、経営者層のちょっとしたIT知識の習得に他ならないのです。

ですから、まずは、経営者層が、ECの構築に必要な情報を入手しつつ、世の流れや自社の強みなどを短期的から中長期的な観点で精査し、EC戦略を構築することから全ては始まります。

ここ数年の努力が十数年後のマーケットを制すると言っても過言ではないと思います。

電気関係、水回り関係、空調関係、エクステリア関係、インテリア関係、エネルギー関係などなど、建設業界には多種多様な業種が参画しています。その専門的な知見を活かし、地域社会の質的充実に資することは建設業界の責任と言っても良いと思います。そして、その責任を果たすためにも、ちょっとした努力を積み重ねることをぜひ検討してみてください。

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