建設業界のビジネスモデル

はじめに

ビジネスモデルと言えば、最近では聞き慣れた言葉になりましたが、1990年代では、あまり一般的ではなかったと思います。

しかし、その1990年代こそ、21世紀に向けた新しいビジネスモデルが生まれたと言えます。ファブレス経営のDELLやApple、ネット販売を大々的に行ったAmazon、無料サービスからクラウドサービスを展開したGoogleなど、現在では普通になっていますが、当時は、誰も考え付かなかった、考えついたとしても、とてもビジネスになるとは思わなかった、そんな仕組みが誕生しました。

本日(2021年11月22日)の日経新聞の3面では、コマツの小川社長が「コロナ後の建機市場」のタイトルで、ポストコロナの建機や建設業界を語っています。

キーワードとしては、カーボンニュートラル(CN)を中心にして、環境を課題として捉え、米国の量的緩和の縮小(テーパリング)の影響を注視しながら、予断を排除してその時期その時期に合わせたフレキシブルな戦略を構築するようです。

ビジネスモデルのABCとは

ビジネスモデルの分析のツールはたくさんありますが、今回はビジネスモデルのABCについて解説したいと思います。

ABCとは、A=Attraction(集客方法)、B=Benefit(提供する価値)、C=Charge(課金)の頭文字を並べたもので、そのビジネスモデルが、どのように集客をし、どんな価値を提供し、そして、どのように課金して、成長や利益を創出するのか?を表すものです。

例えば、Appleでは、年に数回のローンチによって、新商品を紹介し、その価値が顧客のライフスタイルに対してよりスマートに感じる付加価値を提供し、競合他社の価格帯以上の値付けを、直営店にてディスカウントなしに課金すると言うモデルです。そのため、売上対経常利益は、他社の追随を許さず、ダントツの利益率を誇っています。

また、Googleは、Gmailを代表とする無料サービスの提供を通じて集客を図り、世界最高水準のクラウドサービスを提供し、その奥にあるビジネスユースのサービス利用を促しつつ、月額課金方式(サブスクリプション)で、課金していくモデルです。事業の立ち上げから採算点に達するまでは、キャッシュアウトが続き、赤字が累積しますが、採算点以降は、基本的に莫大なキャッシュと利益が望めるビジネスモデルです。

建設業界では

私たちの建設業界では、どのようなビジネスモデルがあるのでしょうか?

私が対象としている、所謂サブコン(専門技術の地域建設業)では、集客は、ゼネコンにお願いし、高い専門技術と納期を守るマネジメント力を提供し、適正な価格を頂戴する、と言ったビジネスモデルが、一般的です。

以前も、何度か指摘しましたが、このビジネスモデルでの注意点は、適正な価格をきちんと頂戴すると言う、予算管理能力がその会社の決算を左右すると言うことです。

近年は、ゼネコン頼りの集客から、病院や学校などの大規模施設などへの直接的なサービスの提供を目指したり、一般住宅から雑居ビル、またはマンションなどの大規模集合住宅へのサービス提供を志す建設業者も増えてきました。

もともと

以前から、訪問販売を中心とした、技術力は低いが、販売力が強い業者は存在しましたし、現在でも、活発に活動しています。

それらの販売主体の業者のイメージが強いせいか、サブコンの建設業界では、営業への積極性が低く、経営主体も集客に消極的でした。

しかし、「建物を通じて地域社会に貢献する」を理念に掲げる専門技術集団であるサブコンも、このSNS時代においては、的確なビジネスモデルの再構築が必要となっています。

特に、どのような集客が、自らの事業にとって最善なのか?そもそも、自社の対象とする顧客はどんな人なのか?という根本的な考察を元にした、ビジネスモデルの再構築が求められていると思います。

地域サブコンの集客方法

高い専門技術を持ち、適正な価格でのサービスを提供できる地域サブコンが、必要とする集客方法とはどんなものでしょうか?

まずは、求める顧客像を考えることが大切になります。

高い専門技術を発揮させるには、その専門技術を評価する能力が必要になります。つまり、顧客としては、「安かろう、拙かろう」と言う、コストオンリーの方ではなく、安心や安全、快適などの価値観を持った、適正価格をイメージできる顧客を対象にする必要があります。

そして、そのような適正価格を重視する顧客へのアプローチは、「クチコミ」が最優先されると言うことは、納得できることだと思います。

「クチコミ」を最大化するには

この「クチコミ」の最大化こそ、私たちの建設業が目指す集客方法ですが、その構築は、結構大変なのが現代です。

SNSやTVコマーシャル、DMやセミナーなどの集客ツールを効果的に使うことと、過去の顧客との信頼感の醸成が重要になってきます。

仕組みの構築には、様々な専門家が必要になってきますから、腰を据えて、数年計画で実施することが求められるでしょう。

特に、今までのビジネスモデルからの再構築ですから、慌てず、焦らず、諦めずで、前向きに進みたいものです。

ご興味があれば、ぜひご相談ください。

 

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