はじめに
2000年代になって「人手不足」という言葉が多用されるようになりました。
以前は、「人手不足」=「賃金高騰」という等式の元、インフレ懸念材料に等しかったのですが、近年では、「人手不足」は、業界を区別するものになっているようです。
例えば、介護人材やごみ収集などのエッセンシャルワーカー、コンビニやスーパーなどの小売流通業、はたまた運輸などの輸送業などなど、多方面にわたって「人手不足」が喧伝されています。
本日(2021/10/25)の日経新聞の2面下段の週刊東洋経済の宣伝には、「早慶上理」「MARCH」「関関同立」と大きく描かれ、リクルートを前提とした、大学のランキングを報じています。こう言った大学ランキングは、企業の人事として「良い人材の採用」を目指していますし、「良い人材」=「企業の発展」という前提に立っているように思えます。
では、サブコンと言われる地域の専門建設業における社員教育や採用活動は、どのような観点で行っていけば良いのでしょうか?
建設業といえば、3K職場として、「人手不足」の最たるものとも思われています。
また、建設業は、「工期厳守」が求められ、その上、工程は予定通り進まないものですから、どうしても、土曜日や日曜日、そして祝日などのお休みが取りにくい業種でもあります。
この建設業に、「良い人材」を採用する力はあるのでしょうか?
また、建設業の将来を展望する上で欠かせない次世代をどのように育成すれば良いのでしょうか?
今回は、建設業の社員教育と育成というテーマで考えていきたいと思います。
リクルートと言えば
高校生や大学生を新卒で採用しようと思うと、まずは、リクルート社が提供しているWebサービスへのアプローチが始まります。
また、合同企業説明会などのイベントへの出展も視野に入れます。
Webからや説明会からのご縁で、入社試験を受けてもらい、面接をし、内定を出します。しかし、内定を出してもそのまま入社してくれるとは限りません。学生の方で他の企業を受けているからです。
多くの企業が、この仕組みの上で採用活動をしています。
しかし、私たち建設業が、まして、サブコンがこのような仕組みの中でリクルート活動をして、本当に必要とする人材を獲得できるのでしょうか?
そもそも、私たちはどのような人材を求めているのでしょうか?
企業の求める人材像(転職・求人のdodaによる)
最も求められるのは「積極性」
企業が求めるヒューマンスキルを6つのカテゴリに分類し、それぞれの求人で求められる人物像(複数選択可)を集計したところ、最多は「積極性」で全求人の74%で求められていることが分かりました。
昨今、日本経済の縮小や国際競争力の低下など、さまざまな課題を抱える企業では、与えられた仕事を遂行するだけでなく、組織目標を達成するために何をやるべきかを、自ら考え実行できる積極性を求めていると考えられます。
二番目に多いのは「柔軟性」(60%)で、社会構造やマーケットの変化のスピードが速まる中、今までのやり方に固執せず、状況に応じて柔軟に思考や行動を変化させられる力が求められているのでしょう。
次に多いのは「外向性(59%)」。グローバル展開や他領域へのビジネス展開を目指す企業が増える中、視点を外に向けて新しい情報を敏感にキャッチし、新しいマーケットやビジネスの可能性を探れる人物が重宝されると考えられます。
このように、多くの企業で求められるのは、「決められた仕事を遂行できる」人物よりも、「組織目標を達成するために、自身は何ができるかを、柔軟な思考と広い視野で考え実行できる」人物と言えるでしょう。
採用と社員教育
実際のところ、私たちサブコンがリクルート戦線に打ち勝ち、「良い人材」を獲得する可能性は著しく低いということを、まず認識することが重要だと思います。
その上で、私たちがどのように採用し、次世代を担う人材へと育成していくのか?ということが求められているのでしょう。
つまり、まずは社内でどのように育成するのか?社員教育としてどのようなことをするのか?を予め検討と実行を重ねつつ、採用活動に結びつけていくことが必要不可欠となっています。
短期的な採用活動に終始することなく、全体的な中長期的な課題にもメスを入れ、休日や労働時間などの福利厚生や就業規則などの法務労務の整備、昇級昇格などの給与システム、入社から定年退職や再雇用に至るまでのワークライフデザインの提供、と採用から適時の教育や資格取得など全体の仕組みに関することまでをデザインし実行することが求められています。
建設業は夢のある職業です
建設業は、身近にあるクリエイティブな業種です。
ゼロから建物を作り出したり、解体して新しい建築物を構築したり、古いものを活かしてリノベーションしたり、リフォームしたりして、人々の生活や業務を快適に、そして安らぎを提供します。
この地域を支える重要な建設業を次世代に引き継ぐためにも、社員教育と採用活動を再度見直して、活気ある永続企業へと発展したいものです。
社員教育と採用活動には「コツ」があります。その「コツ」を見つけるためにも自社の中長期的課題の洗い出しや独自の採用活動などを始めてみましょう。