建設業のKPIのつくり方

はじめに

今日(2021年10月20日)の日経新聞の2面の下段には、「ビジョナリー・カンパニーZERO」という本の宣伝がありました。世界で1000万部発行されているそうで、一言で言って素晴らしい本です。

このように、経営に関する本は、とてもたくさんあります。人のモチベーションに焦点を当てたり、心理学的な考察を中心にしたり、上場を目指すような大きな目標を重要視したり、本当に様々なジャンルがあります。

ですからこそ、経営というのは難しいと言えるのでしょう。

今回は、「建設業におけるKPIのつくり方」について考えていきたいと思います。

そもそもKPIとは、重要業績評価指標と言いますが、なんとなくややこしいですね。一言で言えば、売上とか、経常利益とか、そう言った数字のことをKPIと言います。

なぜ、KPIが必要かというと、それは社内での意思疎通のためです。忙しいとか、順調とか、暇だとか、不調だとか、を数値として表現して社員同士や社内会議で、状況を共有化するために使用します。

また、目標との進捗を図るためにも利用するものです。

首藤浩の経験として

首藤の方法としては、KPIはシンプルでなるべく一つにします。

一つの数字で、建設業を経営を把握するのですから、結構大変です。

建設業の数値には、受注金額、人工数、売上、粗利益、外注費などなどと様々な数字が飛び交います。

特に建設業では、施工途中に変更があり、受注金額が最終的な売上と乖離することが多く、売上と粗利の関係が入り乱れて、正確な数値を掴むのが難しいものです。

首藤の主張としては、KPIに正確性を求めず、適時性や即時性を求めます。

現場の管理は、様々な変化や情報がやり取りされるために、管理者の業務負担は過大です。その業務の中で、正確な数字を求めるよりも、日々の変化を一定なフォーマットに落とし込んだ、適時、即時の数値の方が役に立ちます。

つまり、建設業のKPIは粗利を目指すべきです。

受注から実行予算書を作成し、その進捗を適時メンテナンスすることで、粗利益の変化を追いかけることが、実際的であると考えます。

建設業では、ついつい現場を収めること(完成させること)に注力しがちですが、それは大事としても、数値もとても重要です。

業種によって、違いはありますが、大雑把でも良いので、各現場ごとの実行予算の執行状況を最低限一月に一度は数値化して、社内で共有すべきです。

建設業の悩みとして

建設業の悩みとして、従業員の確保とマーケットの獲得の2つが挙げられると思います。

国土交通省では平成28年度までの国内市場を分析した結果をレポートしています。

建設投資のピークは平成4年度の84兆円、就業者数のピークは平成9年度平均の685万人、許可業者数のピークは平成11年度末の60万社でした。

一方現在(平成28年度)では、建設投資は51.8兆円(ピーク時比▲38.3%)、就業者数は500万人(ピーク時比▲27.01%)、許可業者数は46.8万社(ピーク時比▲22.2%)となっています。

つまり、マーケットも就業者数も激減しているのです。

ただし、現在でも50兆円以上の建設投資があり、それを実現化していくことが求められているということは、就業者を一定以上確保しなければならない、ということが理解されます。

ですからこそ、建設業の経営課題の一つとして、若手社員の採用と育成が求められています。

この次世代の育成には、費用が不可欠であるということが重要です。その費用を捻出する体力を維持向上させるためにも、独自のKPIの設定とその運用が求められます。

全員参加の経営

経営者として、「社員に経営数字をどの程度オープンにすれば良いのか?」という悩みがあると思います。

社長以下全社員の給与もオープンにしている会社もありますが、一般的ではないと思います。

 今回のKPIのつくり方と、その運用を考える上で、「ガラス張りの経営」という課題が出てくると思いますが、まずは、できるところから始めましょう。

 いずれにせよ、求められることは、「全員参加の経営」です。

 経営を伸ばすためにもKPIをつくり、運用することで、付加価値の向上を図っていきましょう。

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